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秩序のとれた海 例えば君とふたりで
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どこからお話しすればいいですか?
彼とぼくの出会いから。そうですね。わかりました。

彼はぼくが働いていた本屋の常連でした。

その頃のぼくは人生のすべてに疲弊していました。なんだか、一瞬だけでいいから、とにかくお休みがほしいような。
毎日毎日、なんのためになにをしているのかわからなくて、それでも平気なふりで表面を取り繕って、それさえもなんのためにしているのかわからなくて。
きのうはおとといの、今日はきのうの相似形をしていて、夕暮れ時になるとそれがあわあわと混じり合って、今日がいったいいつなのかさえあやしくて。そんな曖昧な日常なのに、苦しくて、泣きたくて、でも涙の流し方なんてとっくに忘れていました。

そんな頃でした。彼があの本をたまたまぼくがレジ打ちをしていたカウンターに持ってきたのは。一応、表題は伏せますね。
とにかく、そのタイトルを見た瞬間のことです。すべてが許された気がしました。すべてに、許された気がしたんです。

レジ打ちの手が止まり、まじまじとタイトルを眺めました。がたがたと全身が震え、立っていられないほどの衝撃を受けて、それでも代金を受け取り…ちょうどの金額でした…レシートを返しがてら、思わずこう口走っていました。

「この本、お読みになったら感想をお聞かせくださいね」

彼は一瞬、驚いたようにぼくを見て、それから笑って頷いてくれました。

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《管理人の独り言》
ひとり語り手法ってBLではあまり見かけないのですよ。
(あったら教えてくださいー…。読みたいので/笑)
あくまでもネット小説です。商業本は…『文庫本が読めない病』なので読んだことがなく。
『文庫本読めない病』…文庫本って手のなかで頼りない感じがして
「あなた大丈夫?」と本に言いたくなって読書どころじゃないのです。
ひとり語り手法の小説、大好きなので「ないのなら・作ってしまえ・ホトトギス」と、
ニーズがあるかないかわからないままUSBに保存していた物語です。
うん、小説というより『物語』。
よろしければ、おつきあいください。
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【2014/10/10 09:44】 | 世界をめくるとき
|

すとりーとへ
砂凪
Welcome to 腐女子ワールド!

なかなか本題に入らない砂凪さんの連載。
ストーリーはどうなっていくのでしょう??
ええっ!?むずかしかったかな……。そうかな。
今回は、前回より起承転結がわかりやすいと思うよ。

ちょっと易しめもなにも、完結作だからなぁ(笑)
がんばってついてきてくださーい!


すとりぃとん
ここははじめておじゃますます

いやまだ始めだからストーリーは
どうなっていくんだろう?的な感じだけど
前のは難しすぎて読めなかった(←バカ)から
今回は読めるだろうか?そっちに関心がいってしまうというか・・・

でも読みたいなー
ちょっと易しめでお願いします☆

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彼が再び仕事先にやってきたのはその3日後。

ぼくを手招きして、一通の封筒を渡してくれました。
あの本の感想が書いてある、と。とてもじゃないけど、レジで語れるものじゃないから、と。
何気ない一言に真摯に応じてくれたことがうれしくて、ぼくは笑いました。笑ったのが何年ぶりなのかわからないほど、ひさしぶりのことでした。
自分のメロディにだれかが気づいてくれる。そのことが、ほんとうにうれしかったんです。

受け取った封筒をその晩開くと、ほんとうに本の感想が書かれた何枚もの便箋と、それから近所の博物館の入場券が入っていました。

彼の感想は…それ自体がエッセイのようでしたが…、とてもうつくしい文章で綴られていました。
いわく『この本は魔法だ』と。
彼はすべて、勘付いていたのかもしれませんね。
あの本が、この世界に『ある』ということが、どういうことなのか。

券に貼られた付箋には、今度一緒に博物館にいかないか、と添え書きされていました。
彼の携帯のアドレスもメモしてありました。そのアドレス宛に、誘いに応じる旨のメールを送ったのが、その1週間後でした。

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【2014/10/11 09:38】 | 世界をめくるとき
|

すとりーとへ
砂凪
こんにちは、すとりーと。

そうだよ、読んでいたのだよ。
自分でも知らんかった!ってどれだけ印象薄いんだ。
展開…うん、たのしみにしておいて。


すとりぃとxuu
いや、これ前読んでたんやね!自分でも
知らんかった!読んでないと思うてたわ
展開が楽しみすね!

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その古い博物館に一緒に出かけたときのことは、よく憶えています。
人類の進化や脳の仕組み、地球の息吹などの展示は小学校の理科の時間に訪れたときと、なんら変わっていませんでした。

でも、35周年記念で恐竜の骨の特別展示がされていました。そうです。骨です。とにかく、ぼくは言いました。

「骨って、生きものの身体のなかでいちばんきれいなものですね」

彼はぼくを見て、どうして、と言いました。
「なんだか、いろんなどろどろしたものが洗い流されているみたいで」
彼はまた、どうして、と訊ねました。
「わからないけれど。生きているものが、小さいころからすこしこわかったのかもしれません」

彼は優しく笑いました。そして、こう言いました。
「俺は、みんなきれいだ、って思っていたよ」
「……きれい?」
「うん、みんな奇跡みたいにきれいだ、って」

それから彼の手がぼくの手の甲に軽く触れました。
「まだ、生きているもののこと、こわい?」
すこし考えて、ぼくは頷きました。「こわいですね、まだ」

彼はときどき、ぼくにメールをくれるようになりました。そうですね、3日に1度くらいだからけっこう頻繁だったのかもしれません。

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日付偽装更新という名の予約投稿、うまくいったかしら…(*´ω`*)

【2014/10/12 09:30】 | 世界をめくるとき
|
小さい頃からです。ぼくにとって世界のすべてがザラザラしたつくりもののようで、そこに生きているものがこわかったのは。
どうして、みんな平気で生きていられるのか、ちっともわかりませんでした。なにも実感がありませんでした。
風が吹いたらはらり、世界はめくれてほかの世界が見えるのではないか。大好きな歌をうたいながら、いつもそんな空想をしていました。

―…世界をばらばらに砕いて
ピースひとつ捨ててみたら
世界はぼくを疑う勇気 あるかな…―

つくりものの世界のむこうにはなにがあるのか。
あの雨音のむこうには、あのオレンジの夕焼けのむこうには、あの青空のむこうには…。世界をばらばらに砕いてみたい。

ずっとそんなことばかり考えていたんです。そうですね、暗いこどもですね。
でも、こどもらしい空想、ですまされました。小学生のあいだくらいまでは。
それに、そうせざるを得ない理由らしきものはありました。少なくとも、ぼくがあんなこどもだった理由は。
幼心に、この世界から逃げ出したかったのかもしれません。笑うかもしれませんが。

それなのに、中学にあがっても、高校生になっても、ぼくのこういった『世界のむこう』を空想する癖は収まりませんでした。
いえ、ますますひどくなりました。いつもぼんやりしている、というので周囲から完全に取り残され…、まともとは程遠い世界で生きているようでした。それなりの大学には入れましたが、案の定、就活はうまくいかずに…大きな書店での店員としての内定をもらったのは、学部内でも最後のほうでした。

…でも、彼に出会えたのはその書店で働いていたおかげなので、いまでは過去のぼくにも感謝していいくらいかもしれません。

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【2014/10/13 08:43】 | 世界をめくるとき
|

すとりーとへ
砂凪
こんにちは、りたーんず。

世界を疑っているのには、ものすごく重いバックボーンがあります。
生死が絡みます。
苦手だったら迂回してね。

現代詩、わたしは好きだよ。
少なくとも、古典よりは理解しやすい。
ごめんなさい…本筋の話より挿入歌のほうが芸術的…。
ちなみにこれ、フルコーラス設定あります。


すとりぃティー
「―…世界をばらばらに砕いて
ピースひとつ捨ててみたら
世界はぼくを疑う勇気 あるかな…―」

何かもう「非凡」やね。世界を疑ってる人。
世界の何もかもを疑い、その中から新しい
ものを創る。詩読まない私には現代詩って
どういう風にいいのかわからんけど、少なくとも
こっちの方がずっと芸術的に見える。


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彼はあいかわらず月に何冊も本を買っていきました。
そして、ぼくが店員としてでなく…彼に会いたくなったころを見計らったように、メールで『一緒に出かけよう』と誘ってくれたんです。
あちこち行きました。ぶらぶら町を歩いて偶然見つけた映画館で古い洋画を見たり、彼のお勧めの喫茶店にコーヒーを飲みに行ったり。

彼が現れてから、世界はぼくにとってほんのすこしだけ、息のしやすいものになっていました。プラスチックの水槽にエアポンプが導入されたような。
そして、そのころにはぼくは彼のことが好きになっていました。何度も一緒に出かけ…交わした会話のなかから、こっそり繋いだ手の間から、彼がぼくを見る眼差しから。

決定的な出来事のきっかけは、また本でした。ほんとうに何冊も小説を買っていくものだから、思わず訊いてしまったんです。彼との会話はいつもそんな感じでした。『思わず』が思わぬ結果を招くような。

「おうちの本棚はどんなふうなんですか?」
彼は苦笑して言いました。
「今度、うちに来るか?きみは本が好きなんだろ。けっこうなものだと思うよ」

びっくりしました。幼少時から数えても、親戚以外のだれかの家に行ったことなんてほとんどなかったから。
でも、そうです。ぼくは彼の家に行くことにしたんです。

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【2014/10/14 09:20】 | 世界をめくるとき
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