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秩序のとれた海 例えば君とふたりで
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「なんだか落ち着きます」
という辻本は笑っている。
コーヒーカップが自分用しかないので仕方なく湯飲み茶碗に入れてやったコーヒーをおいしいですね、という。
「落ち着くって、なんでまた」
「程よく雑然としていて。うち、母が潔癖症なので片付きすぎていて……寂しい感じの家ですから」
パスタを茹でてやり、ふたりで夕飯を摂ったあと、コーヒーを飲んでいる。

「それは、お前の心の中身も影響しているだろ」
辻本を傷つけない台詞を選んだはずが、まっすぐにしかボールは投げられなかった。
「先生は優しいですね」
辻本は言い、それから微かに唇だけ動かす。しばらく考え込んだ後で、言いなおした。
「ちがいます…先生が、優しいんだと思います」

助詞が僅かに強調された、『先生は』と『先生が』の間にある文意の差。
辻本は俺を優しさの権化かなにかだと思っているのだろうか。考え考え紡がれたことばが耳を打つ。

「あの……家族、ってふつう…どんな風なんですか?」
「『ふつうの家』なんてないが…少なくとも親は、ふつうは『ごっこ遊び』をしているわけじゃない」
膝を抱えて座っている辻本の、その膝のあたりに言った。
「『家族ごっこ』って…やはり母は本気で言ったのでしょうか?」
「……たぶんな」
「両親にとって、僕はなんでしょうね。どこかで、僕があのひとたちを素直に親だと思えない、その気持ちを察してしまっているんでしょうね」

苦笑混じりの台詞を遮るように、背後の壁掛け時計がヴィヴァルディの『春』を奏でた。
辻本が呆気にとられたように言う。
「なんですか?あの、壁掛け時計…選曲が変な気がします」

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【2015/09/01 08:20】 | そこは命のあるところ
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Pearswordさんへ
砂凪
こんにちはー。

ううん、ちがいます。
眞琴はどうやってかはもうほとんど不明に近くなってきたのですが(おいっ!)父親とも母親ともDNAの繋がりはありません。
つまり、遺伝的にはだれとも繋がりのない子なのです。
DNAを人工的に作り出すことが可能かどうか調べたところ、どうやら可能なようなので、こういう設定にしました。
>親が病んでいるとしか……
まぁ、虐待してるわけじゃないし、赦される範囲内ということで。

森橋先生はご指摘の通り、おバカさんです。
冴えない、パッとしない感じのひとを想定しました。
なんとなく仄めかしてはきましたが、ここにきて生態が明らかに!(笑)
きょうのエントリでも『カレリア組曲』云々でおバカになっています。

コメント、ありがとうございました!

前にも言ったかもしれませんけども……。
Pearsword
 記憶力が悪くてごめんなさい。人工生命と言っても、父親の○子を意図的に選び抜いて、同じく選び取った母親の×子と受精させて、チューブで成長させたのだっけ? 母親がじかに腹を痛めて産んだ子供では無いにしても、遺伝子的につながりがあるなら、親子に親愛の情が湧くと思うけど。たとえ、受精卵のDNAを抜き取り別の遺伝子を注入したとしても、里親ですら親子の情が湧くのだから、よほど変わった親でない限りは、眞琴を愛すると思うな。それがないというのは、親の精神状態が病んでいるとしか思えない。なんだか、母親のほうが可哀相になっちゃったよ。
 しかし、森橋先生もコテコテのキャラですね。服装も長袖Tシャツにジーンズだし、ファミレスで食べりゃ良いものを、いくら眞琴が望んだからと言って、家に連れ帰って自分で茹でたパスタを食べさせるとは、凄い趣味……。まえの風の日にも思ったんです。クリームパンは無いだろうと。まあ、個性的で面白いですけどね(笑)。
 あまり良い読者で無くてごめんなさい。

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それは、前々から俺も思っていたことだが。
「あー……前につきあってた奴の忘れもの。捨てるのも忍びないし、なんとなくそのまま」
なんとなく、という風情で辻本の顔が翳った。話題を変えたくて、俺は補足する。
「10時になると、シベリウスの『カレリア組曲』第三楽章が鳴る。なんか、雨の日の日本庭園みたいな歌」

辻本はしばらくぽかんとしていたが、ややあって言った。
「先生は、クラシックにお詳しいですね」
「いや、あのころに曲名を全部教えてもらって……」
だれに、を省いたが、敏感に辻本がそれを察知した気配が伝わってきた。補足説明をした自分を恨む。
俺は慌てて、いまはだれともつきあっていないけどな、となぜか言い訳がましくもごもご告げた。
立ち上がってジャケットを掴み、彼に言う。
「というか、お前そろそろ帰ったほうがいい。家で苦しかったり、にっちもさっちもいかなかったりすれば、またここに来ればいいから」

「帰りたくない」
俺を遮って、でもこちらは決して見ず、頑是ない子供のように辻本が言う。
「…帰りたくない、ここに、先生の傍にいたい」
膝に顔を埋め、もう一度繰り返す。
俺は息を吸って吐いて、そっと言った。
「俺、なんか勘違いしているよな、今の…」

俺を見上げた辻本は、俺がすぐ目の前にいるにもかかわらず遠くを見るような、それでもまっすぐな目で言った。
「勘違い…じゃ、ありません。森橋先生のことが、僕は好きです」

我慢と忍耐と待機を積み重ねることは、ひとから考える力を奪うものらしい。
待ち続けることは、進むことよりよほどエネルギーを必要とするものだから。
待ち続ける時間はとても重いから。

その場に膝をつくと俺は、辻本を抱き締めるなり唇を合わせた。
腕のなかの温もりが微かに身じろぎし、俺の背中にそっと手が回される。舌先を彼の唇に這わせ、僅かに開いた唇の間から口腔を撫ぜる。辻本の舌に絡めるように動かすと、せがむようにキスを深めてくる。
一瞬、なにも見えない、と思った。

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眞琴よ、どうなっちゃっても……わたし知らないしー♪(by書いているひと)

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【2015/09/02 08:25】 | そこは命のあるところ
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森橋先生の部屋でパスタを茹でてもらった。
不躾であるとわかっていても、ついきょろきょろと見回してしまう。
マガジンラックに収まりきらない科学雑誌、むき出しのままの電子機器の配線、半分閉まっていないクローゼット。
雑然の香りにほっとする。生きているひとがここにいる部屋。自宅とは雰囲気がまったくちがう。

コーヒーを飲みながらそう言うと、森橋先生は言う。
「それは、お前の心の中身も関係しているだろ」
僕はコーヒーに向かってそっと微笑む。投げられた直球は、そのあとに申し訳なさそうな色を帯びたから。
「先生は優しいですね」
自分のことばに違和感を覚え、すこしことばを探す。助詞を変えて口にした方がしっくりきた。
「先生が、優しいんだと思います」

見あげた相手は微かに目を眇めていた。
僕にとっての優しさは、全部を抱き締めてくれるのは、先生しかない。これほど沿おうとしてくれるのも、僕の心を拾い上げてくれるのも。
『俺はお前が愛おしい』
あのことば。すべてがこれでよかったんだ、と思えた。
僕が生まれてきたことも、これまで歩いてきたことも、ぜんぶぜんぶ。

考え考え、口にしてみる。
「あの……家族、ってふつう…どんな風なんですか?」
ふつうの親は『家族ごっこ』を演じるわけじゃない、と先生は言う。
ぽつりぽつり交わす会話を遮って、いきなり華やかな音楽が響いた。ヴィヴァルディの『春』。
選曲が変だと指摘すると、前の恋人の置き土産だという。忘れ物を捨てるのも忍びない、という先生の優しさは、僕だけに注がれているわけではないようだ。

10時になると、また別の音楽が鳴るのだという。
先生の知っている『カレリア組曲』第三楽章という音楽を僕は知らない。
不意に、帰りたくない、と強く思った。

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【2015/09/03 08:22】 | そこは命のあるところ
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時計を見たことで時間を認識したのか、先生が帰ったほうがいいと言う。ジャケットを掴んだ手をじっと見る僕に、畳みかけるように。
「家で苦しかったり、にっちもさっちもいかなくなったりしたら、またここに来ればいいから」

ジャケットを掴んだままの手から眼は動かさず、口だけ動かした。
「帰りたくない」
沈黙が落ちたので、繰り返す。
「…帰りたくない、ここに、先生の傍にいたい」

空気は吸って吐かれ、その振動が先生の動揺を伝えてくる。
さっきよりすこし長い沈黙の後、ことばが降ってきた。
「俺、なんか勘違いしているよな、今の…」
僕はまっすぐに先生を見上げた。
「勘違い…じゃ、ありません。森橋先生のことが、僕は好きです」

一瞬、泣き出しそうに歪んだ顔は気がつくとすぐそばにあって、僕は目を閉じて先生のキスを受けた。
背中に手を回すと、こわくないよというように、唇に舌が触れた。
知っているよと答えるように、僕は先生の舌先を口腔に受け入れる。
柔らかな器官を絡めあう。生ぬるい快感が背中をゆっくりと這いあがってくる。

しばらくそうして戯れていた舌が離れる。
快楽に滲んだ視界に先生を映すと低い声で名を呼ばれる。はっきりと欲情の滲んだ声。
……あぁ、僕はこんなふうに呼ばれたかったのだ。先生に。ずっと前から。
「さわって、いいか?」
もう、首を横に振る選択肢はどこにもない。抱きつくと、晩夏のフローリングにシャツの背中が触れた。

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【2015/09/04 08:14】 | そこは命のあるところ
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辻本に触れていいかと訊ねる声は自分のものであって自分のものではなかった。
返事のかわりに抱きつかれ、細い身体を床にそっと横たえた。
覆い被さると、首筋にゆっくり唇を這わせる。途端に細く声があがった。嫌悪や不快を訴える声音ではなかった。

「…あ、…あっ」

もぞもぞと腰を引こうとする仕草を見せるが床の上ではうまくいかなかったようで、俺の下肢に辻本の微かな熱は伝わる。
強弱をつけてすんなりした首元にキスを続けていると、声が切れ間なくあがる。
辻本のその声が不快感を帯びないように注意を払いながらそろそろと片手でシャツのボタンを外す。肌蹴た上半身はまっさらにきれいで、なにも言わずともだれにも触れられたことがないことを物語っていた。

自分のほうの余裕もだんだんなくなってきているが、今の最優先事項は辻本をこわがらせないことだ。微かに汗ばんだ半身をそっと撫ぜてやる。
キスをやめて顔をあげ辻本を覗きこむと、紅潮した顔の双眸に涙の膜が張っていた。
手のひらでそっと身体に触れるだけで、その膜に色が滲む。

「気持ちいいか?」
訊ねると、躊躇うように頷く。
「続けていいか?」
重ねて問うと、今度は躊躇ない首肯が返ってくる。
辻本は目を閉じ、訊かなくてもいいですとだけ、言った。

身体を触れるか触れないかくらいで撫ぜていた指先で辻本の胸に軽く触れる。服のうえから触れていたせいか、すこしだけ尖っていた胸先を人差し指で柔らかに擦る。
しばらくして苦しげな息の間から漏れる、切れ切れの、先ほどより少し上ずった声。

「いっ…あぁ、んっ」

いつも授業中にペンを握る手が、乾いた鈍い音を立てて床を叩いた。
俺のほうがかろうじて保っていた理性と余裕が、その動作に消えた。

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【2015/09/05 08:19】 | そこは命のあるところ
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いつも授業中にペンを握る手が、乾いた鈍い音を立てて床を叩いた。
俺のほうがかろうじて保っていた理性と余裕が、その動作に消えた。

……辻本を感じさせたい、もっと乱れた姿が見たい。
衝動のまま、擦っていた指の動きを爪の先で軽く摘むものに変え、もう一方の胸の尖りを決して強くなりすぎないようにと歯先を唇で包んで噛む。
背をわななかせ、辻本が悲鳴じみた嬌声をあげた。
おなじ動作を繰り返すと余程感じるのか、先ほどは逃がそうとしていた腰を浮かせ、俺の下腹に押し付けてくる。
昂りがジーンズ越しに伝わってきて、彼が快感に呑まれていることを知る。

胸から指と唇を離し、もう一度辻本を覗きこむ。息を乱している口許に最後の確認をする。
「下も、さわっていいか?」
「……触って、ください」
こんなときでも敬語を使うのが辻本らしい。笑うと、なに?と目で訊かれた。
「いや、お前、感じやすいんだな。びっくりした」

眼を瞠った彼が、両手で口を押さえる。自分が喘いでいたことに今はじめて気がついた、というように。
その仕草に、辻本は他人に触れられるのがはじめてなのだと思い出し、慌てて散らばった理性を掻き集めて築きあげなおす。
こわがらせないようにゆっくりジーンズと下着を脱がせる。
たちあがっているものを無視してすんなり伸びた太腿に触れただけで、辻本が息を呑んだ。

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【2015/09/06 08:42】 | そこは命のあるところ
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先生の髪が顎のあたりに触れたかと思うと、首筋に温かいものが触れた。キスされているのだと気づくのと、声をあげるのと、どちらが先だったか。
痺れるように、唇が触れている部分から身体が熱を帯びるのがわかった。
当然で健全な反応をみせた腰を恥ずかしくなって引こうとするも、床の上で覆い被さられた体勢ではうまくいかない。

唇は首筋に這わせたまま、僕のシャツのボタンを大きな手がゆっくり外していく。
あやすように素肌の身体を撫ぜられて、その感触にというより温かさに快感が走った。先生は僕を覗きこんで訊く。
「気持ちいいか?」
すごく。そう答えるかわりに、時間をかけて頷いた。
「続けていいか?」
頷く。
訊かなくてもいいですよ、と続けると微かに笑う声がした。

薄い胸の上を指で撫ぜられた瞬間、閉じた瞼の裏で光が弾けた。無意識に手の甲が床を強く叩く。
先生が空気を呑む気配が伝わってきたかと思うと、固く尖った部分を摘まれた。指先で捏ねられ、もう片方を柔らかに噛まれる。
声帯が震え、自分のものだと思えないあられもない声が零れ落ちて床に降る。
思わず、感じている先端を服越しに先生の腰に押し付けた。

覚えたことのない快楽を僕に注いでいたものが離れ、覆いかぶさられたまま低い声で訊かれた。
「下も、さわっていいか?」
訊かなくていいのに。懇願するように求めると、また笑う声がする。問いかけるような目をしていたのだろう、先生が言う。
「いや、お前、感じやすいんだな。びっくりした」

瞠目し、思わず口を両手で塞いだ。
途端に欲情を滲ませていた先生の眼が優しい色を帯びた。
ジーンズを脱がされると外気に両脚が触れる。それと同時に先生の手に太腿を撫ぜあげられ、息を呑んだ。
先ほどまでの快感を忘れたように、反射的に体が硬直する。僕の反応にやわやわと脚を撫ぜながら、先生はごく穏やかに言った。

「今日は、お前が気持ちいいことしかしないから。そんなに怖がるな」

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『今日“は”』といいましたね、先生よ……。
あと、眞琴にはそれなりの“知識”があるようです。まぁ、なんてことなの。。。

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【2015/09/07 08:55】 | そこは命のあるところ
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硬直した身体を撫ぜながら、暗に最後まではしないと告げる。
辻本の眼がふわっと笑い、安心したような色が浮かぶ。

それを契機に、頭をもたげていたものに直接手のひらで触れた。
僅かに濡れているそれを軽く握りこむと、一瞬にしていったのではないかと思うほどに、腰をわななかせ、声をあげる。
「あ、あぁ……、やぁっ…」

眼から先ほどの温かな色が消え、情欲が強く滲む。
浮いた踵が彷徨い、床を擦るような動きをする。細かく震える身体全体がうっすらと紅潮していた。
ゆっくりと扱くように動かすと、それだけで先走りが伝って俺の手が濡れた。
高い声が切れ間なくあがる。

「あ…、んっ、せんせい…」
快楽に口がうまく回らないのか、ひどく幼い口調で呼ばれた。
「なぁ、辻本」
「なん、ですか?」
「俺の名前、知ってるだろ?名前で呼んで」
躊躇うので手の動きを緩めると、もどかしげに動かされた唇に縋るように呼ばれた。
「……風里(ふうり)」
「よくできました、いい子だな」
ふざけて言う。辻本が微かに笑った、ように見えた。

手のひら全体で硬度と張りを増していくばかりのものを擦りあげる。
増していくもののかわりになくなっていくのは辻本の声の余裕。
「あっ…もう、ぁ…!や、…もう…!」
「いきたい?」
わざと、焦らすようにゆっくり訊ねた。

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先生の名前、考えるのがものすごく大変でした。
natureな感じがいいかな…と。生物の先生だし。

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【2015/09/08 08:33】 | そこは命のあるところ
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「いきたいか?」
答えはわかっている問いかけにそれでも躊躇うので、もういちど訊ねると激しく頷く。
濡れて光る先端に唇を寄せ、尖らせた舌先で撫ぜた。
手のひらのなかのものは一瞬、芯を持ったようになり次の瞬間、辻本がひときわ高い声をあげて、いった。噴き上がってきたものを口内に受け入れる。飲み下す。

「…あっ、ん……え?」
喘ぐ声が止み、辻本が俺の口許を凝視している。絶頂直後だからか、どこか呆けたような声音で言う。
「まさか……飲んだ、んですか?」
「…ぜんっぜん、飲みものじゃないが」
「ちょっと待ってください!ダメですよ、汚いから!」

シャツ一枚の、汗ばんで紅潮した身体や潤んだ眼で訴えられても全く説得力がない。
しきりに吐けとどんどん背中を叩かれる。赤ん坊じゃあるまいに。
腕を伸ばして抱き締め、笑いながら頭を撫ぜてやる。
「飲みものじゃないけど、辻本のだ」

反論する気も失せたのか、彼はため息をついて笑った。その声に紛れるように、言う。
「……気持ちよかったです、先生」
「満足したか?」

頬を赤らめて頷く。愛おしくて可愛くて、帰したくない、と思った。
時計を見上げる。午後10時45分。カレリア組曲の第三楽章はいつ鳴ったのだろう。
自宅まで送り届けると言うと、しばらくぼんやり俺を見上げていた辻本はゆっくりと衣服を身につけ、立ち上がった。

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【2015/09/09 08:14】 | そこは命のあるところ
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2話戻ったところからの眞琴視点エロ(笑)です。
ふたりぶんあるので無駄に長いです……。


***

そんなに怖がるなと告げた先生は、思わず僕が微笑むと下肢で快楽を訴えていた僕のものに柔く触れた。
自分でするときとはまるで別物の、別格の感覚に、堪えようとしても腰が震えた。淫らな声が漏れ、天井が滲む。
どうしてだろう、触れられているのはたった一か所なのに芯からぐずぐずに溶けていく。気持ちいい。

僕のなかのひどく淫蕩な部分が眼で先生に訴える。
もっとさわって。

緩慢だった動きが次第に速度をあげる。それなのに平行線を辿る快感は出口を求め、僕は喘ぐ息の隙間から先生を呼ぶ。

「辻本」
柔らかに呼ばれる。問うと、名前を呼べと言われた。
眼を閉じると、春の始業式、LHRの光景と陽光が思い出される。
黒板に書かれた右上がりの癖のある字の『森橋風里』、綺麗な名前だと思った。呼ぶのが躊躇われるほど。

触れている手が緩くなり、中途半端にされた深い感覚のもどかしさに縋るように名前を呼んだ。
「よくできました、いい子だな」
温かな声が降ってくると同時に、一気に扱きあげられる。そうかと思うと、先端を抉るように擦られる。
腰の奥に溜まった熱が沸騰し、生まれてはじめて、蕩ける感覚のために涙が零れた。

「いきたい?」
ゆっくりと問われる。躊躇っているともう一度訊かれた。
「いきたいか?」
先生のことばに必死に頷いた。
透き通る液が滲む場所に、柔らかな熱を持ったものが触れると同時に、喉が震え、達した。

一瞬空白になりかけた視界に、先生が喉を動かすのが見えてぎょっとした。
「飲んだ、んですか?」
肯定の返事に慄き、僕は吐き出すようにと懇願しつつ背中をどんどん背中を叩いた。
まったく意に介さず、先生は笑う。手が伸びてきて抱き締められ、頭を撫ぜられる。
「飲みものじゃないけど、辻本のだ」

あまりのことに脱力し、笑うしかなくなった。
帰したくないなぁ、と言いつつヴィヴァルディの時計を見上げた先生は、家まで送るから、と僕を見た。
視線に促されるように、脱がされた衣服を身につけると、手をひかれてアパートの駐車場に向かった。

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【2015/09/10 08:20】 | そこは命のあるところ
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