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秩序のとれた海 例えば君とふたりで
ソファの上で膝を抱えた僕は、台所にむかい、水を流している背中に呼びかける。
「茅野さん」
背中は振りかえり、穏やかにわらった。
どうしてだか、茅野さんには僕がただ呼びたくて呼ぶときと、用事や話があって声をかけるときの区別がつくらしい。今回は、前者。

「茅野さん」

繰りかえすと足音がやってきて、手のひらに頬を包まれた。
口づけられ、深くなるキスに応じる。腕を伸ばし、背中に手をまわすと、まだ水で濡れている手は頬から顎に、首筋に、降りてくる。
長袖のパジャマに手を差し入れるまえ、茅野さんは僕の名を呼んだ。呼びかえす。
「……きて」

強請りながら、溺れてしまえ、と僕は思考につよく命じる。なにも考えられなくなるまで。
あわく痺れていく感覚に、簡単だな、と思う。こたえは、こんなところに例えばあったりして。
かなわない妄想も希望を自ら捨てていく思考も、すっかり蕩けた僕が茅野さんを受け容れるころには、なんども這いのぼってくる快感とあられもない喘ぎ声、ソファの軋む音に押し流されて消えた。

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【2017/04/28 07:30】 | 世界の果ての暖炉で
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