秩序のとれた海 例えば君とふたりで
「うた?」
ソファから寝室に場所を変更して、もういちど抱き合ったあと。
茅野さんが僕のむき出しのままの肩を撫ぜながら、疑問形で僕を呼んだ。なに、と目で訊ねる。
眠たそうなまなざしが、半分眠りに没している声が、ぼうっと僕を捕捉する。

「きょうは、どうしたんだ?」
「……え?」
いや、と茅野さんは口ごもったあと、なんかすごかったから、という。
「どうもしないです。気持ちよかっただけで、すごく」

心がぐらついていると身体にどういう効果をもたらすのか、きょうはすごく感じた。
茅野さんはゆったりとわらうと、僕の背中に手をまわして引き寄せ、そのまま寝入ってしまう。
眠っている横顔を、しずかに観察した。髪より薄い色の睫毛、ゆっくりとまばたきする眼、通った鼻筋。

これ以上近くにいようがないのに、途方もなく遠くにいるひとのようだと思った。

これから、また近づいていけるだろうか。僕は、このひとに。このひとと築けるのだろうか。ちゃんと、これまでじょうずにできなかったやりかたで、いままでつくれなかったものを。

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【2017/04/29 07:30】 | 世界の果ての暖炉で
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