秩序のとれた海 例えば君とふたりで
茅野さんとの日々はあわあわと続く。
抱えきれないほどの僕の戸惑いや困惑や、恐怖とはさっぱりと無縁に。
この町を滅多に白く染めない雪が舞ったのは、驚いたことに12月に入ってすぐのことだった。
閉じ込められた、と思う僕はどうなのだろう。自分でもそう思う。足跡を残さずして、この部屋を出ていく術を絶たれた気がした。

職場から帰宅して、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
白く染まっていく街路を隠すように、僕の不安や怯えも隠してくれればいいのに。
なにも考えたくない、なにも思いたくない。もう疲れた。

茅野さんとのこれからをつづけていくためにも、考えたくない、頭をからっぽにしたい。

その日は、いつもよりうんと早く寝室で横になっていた。
季節の変わり目にいつも体調を崩しがちなので、不自然には思われなかっただろう。
放っておいてほしかった。ただ、放っておいてほしかった。

茅野さんが、だから、部屋に入ってきたとき。それが茅野さんだとは思わなかった。
僕が先に横になっているとき、しずかに茅野さんの扉は開け閉てされるから。
ほかに誰もいない部屋で、だれだろう、と半分眠りかけの頭で馬鹿みたいに思った。だれが、僕のいるほうのベッドの毛布を持ち上げて、もぐりこんでくるのだろう。
茅野さんだ、とやっと思考が追いついたのが、身体に手が触れたときだった。

鋭角の音が、頭のなかにはじけた。

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【2017/04/30 07:30】 | 世界の果ての暖炉で
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