秩序のとれた海 例えば君とふたりで
《1999年7月》

海に行く前日の土曜日。あづみは重大な事実に気がついた。
学校で使うものしか水着を持っていない。きっと、兄含め、バイト先仲間という面々は『ちゃんとした』サマーウェアを着るにちがいない。

「ちぐさ、水着これしかないんだけど」
「小学生はそれでいいの。変に色気づくな」

えー……と不貞腐れるあづみを肩で笑い、それでもちぐさは着替えやバスタオル、飲み物やお菓子を入れるバッグを貸してくれた。紺色の地に白抜きでなにか書いてある帆布のものだった。

「なんて書いてあるの」
「俺も知らない。英語じゃないみたいだけど」
「かっこいい」
浮き輪やビーチボール(たぶんあづみ用)を次々と自分の荷物に詰め込む兄の背中を眺める。リビングは光の加減で薄暗い。
「あした、晴れるといいね」
「だな」
振りかえって、ちぐさがわらう。ちぐさは、あづみの『大丈夫』だ。

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