秩序のとれた海 例えば君とふたりで
「こいつが弟のあづみ」
ちぐさに襟首を掴まれたまま、お辞儀をさせられた。ぴょこん、と頭をあげると「かわいいー」という声が降ってくる。
「うちの弟なんてもう中3で、ふてぶてしくなっちゃったからー」
「それ抜きでもかわいいー。ちっちゃいー。ちぐさくんのミニチュア!」

ひらひらした服や化粧品のにおい、ふわふわの髪の集団が腰をかがめてあづみに視線を合わせてくる。
おどおどとちぐさを見上げると、やわらかい笑い声が満ちた。
「ねえねえ、だれが一番好き?」
黒い、ノースリーブのワンピースをしゃっと着こなしたショートヘアが訊ねる。
「え……っと、みんな…おんなじ、くらい?」

いっせいに笑いが弾けた。「困らせんなって」とちぐさもわらっている。
帰ったら、絶対怒ってやる、とあづみは心に刻んだ。
8人乗りと4人乗りに分乗し、海に向かう。8人乗りに乗せられ、道々、あづみは「中学生になったら、部活は何にするの?」とか「将来は何になるの?」とか、質問攻めに遭った。
「まだ決めてないです」と膝を見ながら答えると、つまらない返答だと自分でもわかっているのに、「かわいいー」とまた言われる。
おとなの女のひとって思考回路がどうかしているんじゃないか、とあづみは曖昧にわらった。

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【2017/10/22 08:43】 | いつか、ひかりへ辿り着く
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