秩序のとれた海 例えば君とふたりで
前話よりタイムリープします。6年後のお話です。

《2006年7月》

7周忌、と思う。
死んだひとは、永遠に歳を取らないまま干支を半分以上回った。
喪の色の服に身を包んだあづみは、うんと背を反らし、椅子に寄りかかってぼんやり天井を見上げる。遠慮がちなノックの音がした。母親の声。

「あーちゃん?」
「なに」

話があるの、という台詞であづみは身を起こす。
なに?と部屋のドアを開け、自分より背の低くなった母親に訊ねる。

「ちーちゃんのもので、なにかほしいものがあったら……」
「ちぐさの?」
「……うん、あの子の部屋、あのままにしておくの、もうやめた方がいいのかな、って」

夏のはじまりの白い光。しらじらしく光っている。まるで、世界のすべてを浄化しようとしているように。
あづみのなかでことばはくるくる回る。
そんなことをしたら、ちぐさが悲しむよ、帰ってきたときに困るよ、やめようよ。
きれいなだけのもろいことばは舌の根元あたりでほろほろと崩れ、音にならない。

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