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秩序のとれた海 例えば君とふたりで
なにもいらない、ほしくない。
けれど、なにかを選ばなければいつか後悔するだろう。ちぐさと自分とを結ぶものが、死者につながる扉が、もうなにもない、と。
たとえ、それがただの物体に過ぎずとも。

兄が欠片になって、細胞レベルにそっと分割されていく。そんな気がした。
その細胞をひとつ、分けてもらうことは罪じゃないだろう。

結局、ちぐさがよく身につけていた深緑の石が繋がったブレスレットを選びだした。いわれは知らない。ただ、ちぐさのお気に入りだったから。
それだけでいいの?と母親に訊ねられ、頷いた。
なにか話したら、ちぐさのいた部屋がどんどん遠くなる気がした。

自分の部屋に戻ると、小学校4年から5年にかけて使っていた自由帳を取り出す。
最後のページ。ちぐさの、ボートの設計図。
結局、あれだけ世間を騒がせた予言も空振りに終わり、それから何度か囁かれた終末預言もどれも当たらないままだ。

世界は、滅びない。ちぐさの語った永遠のなかで、ずっと回り続ける。
それはとんでもない希望のようで、底知れない絶望のようでもあった。

水を、と思う。喉の渇きを訴えるひとのように。水をください。それか、惨死に負けないだけの力を。
ちぐさの遺体をあづみは見ていない。というか、見せてもらえなかった。そのせいだろうか、ちぐさがまだどこかで生きているように思うのは。


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【2018/01/11 07:30】 | いつか、ひかりへ辿り着く
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