秩序のとれた海 例えば君とふたりで
兄を失い、静かになったあづみを、『急に大人びた』という親戚もいれば『お兄ちゃんが亡くなってショックを受けて』という先生もいた。
その声にすら、あづみは耳を塞いだ。
記憶に無関係な『だれか』なんて、いないのとおなじだ。
なにもしらない『だれか』の、なにもしらないことばなんて、ないのとおなじだ。

そして。
ふしぎと兄が死ぬ原因になった女性を責める気にはなれなかった。
自分と同等の、そして多分それ以上の何かを負っているにちがいないと思えた。
だから。だから、むしろ可哀想に思ったほどだ。
かわいそう。
あづみもよく言われた。かわいそうに、かわいそうに。
そのたびに心は耳を塞いだ。いらない、汚い、埃のような言葉。
「そうだね」と頷けば、息ができなくなる。

******

ランキング参加しております。
いつも応援ぽちをしていただき、ありがとうございます《*≧ω≦》

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

【2018/01/14 07:30】 | いつか、ひかりへ辿り着く
|
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可